全固体電池はEV車の決めてとなるか?

 菅総理は2021年1月、通常国会・施政方針演説で「2035年電動車100%」を明言。 

 2050年までにゼロエミッションを達成するという目標を掲げている英国は化石燃料を使う、車の販売を2035年までに禁止することを示唆している。さらに、可能であれば実施時期のさらなる前倒しを検討するという。

 そして、2021年2月15日ジャガーは2025年までに全車EV化、ランドローバーは今後5年間で6種類のEVラグジュアリーSUVを投入する新戦略「Reimagine」を発表

 自動車産業特に自家用車の分野はEV化が今後急速に進む。では、それとともに成長していくと思われる企業はどこか?

 EV車のスペックを考えるとき、最も重要なパーツがバッテリー、なかでも注目が集まっているのが全固体電池である。

リチウムイオン電池の欠点が航続距離

 そこで期待されているのが全固体電池だ。

全固体電池とは

全固体電池とは、リチウムイオン電池の一種だが、電解質が従来の液体から個体になっており、従来のリチウムイオン電池の数十倍の容量を持つという。

 また、電解液を使わない構造は発火のリスクが小さく、幅広い温度域で安定した性能を発揮することが期待されている。

富士経済によると、全固体電池の世界市場は2018年の24億円に対して、35年には2兆6772億円に拡大すると予想されている。

現在のEV車の主流はリチウムイオン電池車

 しかし、当面はEV車の主流はリチウムイオン電池車ということになりそうだ。というのも全固体電池EV車の実現にはまだ大きな壁がある。

全固体電池の問題点

 全固体電池は量産化が非常に難しいとされており、特にEV車に使うような大容量のものの量産化に成功した企業はまだない。

 全固体電池搭載EV車の目標スペックは満充電で航続距離500kmを10分でフル充電できることだが、まだ実現への道程は厳しいと言える。
 仮に、このスペックを実現する全固体電池EV車が誕生したとしても、まだ超えるべき、いくつものハードルが存在する。

一つは価格だが、全固体電池搭載EV車の価格は量産化に成功すればある程度解決する可能性があるかもしれない。

 しかし、目標スペックに対応する急速充電スタンドの普及には大きな壁がある。
現在一般に出回っているのは急速充電器といっても150kw/hのものであり、日産リーフなどを8割充電するのにも1時間程度の時間がかかる。

 もし、10分でフル充電可能な全固体電池ができたとしても、500kw級の急速充電器を設置するとなると現行の料金体型では電気代の基本料金だけでも月に80万円を超えると試算されており、急速充電スタンド設置の大きな壁となる。

小型全固体電池の普及は進む

 全固体電池EV車の実現にはまだ時間がかかりそうだが、それでも小型の全固体電池の性能、生産技術は向上し、普及が進み始めている。

 全固体電池は実は新しい技術ではなく、30年前にソニーが製品化している。そして、2020年村田製作所が量産化に成功した小型全固体電池は非常に高性能で小型の補聴器やワイヤレスイヤホン、IOT機器などに使われている。
 村田製作所の全固体電池は容量が2mA~25mAのとき他社製品の100倍の高容量。一般的なサイコロの半分程度の大きさで電圧も通常のリチウムイオン電池と同じ3.8Vを実現している。

※IOT(internet of thingsの略、インターネットに接続されたあらゆる機器と情報をやりとりして、適切なサービスを提供する)

  全固体電池の開発に関わる企業は[6762]TDK [6976]太陽誘電 [6981]村田製作所

また、[6312]フロイント産業は全固体電池用のコーティング装置のメーカーとして伸びており、[4109]ステラケミファの、リチウムイオン電池、全固体電池用添加剤は製品純度の高さで定評有り、世界シェア8割の企業だ。

その他、EV車普及に関連する企業

モーター

[6594]日本電産はモーター・インバーター・減速機を一体にしたEV用トラクションモーターシステムが順調に販売数を伸ばしている。
[6149]小田原エンジニアリング モーター用コイルの線巻機メーカー

充電装置

又、EVとなれば欠かせないのが充電装置であり、急速充電スタンドなどの普及も鍵となる。

[6674]GSユアサ [6996]ニチコン 急速充電器スタンド
[6929]日本セラミック EV車向けの電流センサー

なかでも、ニチコンは家庭用電源装置(V2H)の分野でも実績を伸ばしている。
V2H(vehicle to home)太陽光発電、家庭用電源、EV車の3点セットでの導入が効果的で人気が集まっている。

V2H導入の節約効果

  • 太陽光発電電力で直接EV車を充電できる
  • 夜間帯の安い購入電力でEVを充電できる
  • EV車のバッテリーから住宅に電気を供給

また、太陽光発電電力で直接EV車を充電し、EV車のバッテリーから住宅に電気を供給する方式は、非常用電源としてもかなり有効である。

[6594]日本電産
[6149]小田原エンジニアリング
[6762]TDK
[6976]太陽誘電
[6981]村田製作所
[6312]フロイント産業
[4109]ステラケミファ
[6674]GSユアサ
[6996]ニチコン
[6929]日本セラミック

以上、EV車の関連市場は今後拡大していく分野であり、これらの企業の動向が今後も注目されていくだろう。