ファクトフルネス

今年のベストワンかどうかは分からないが、新しい視点を与えてくれたという意味で大変貴重な存在である。

まず、いきなり全13問の時事クイズが出題され、ほぼ正解できない自分、チンパンジー以下であることに気づかされるところから話は始まる。

そして、人は本能でネガティブにドラマチックに世界をみてしまう。それを人の本能という言い方で説明している。

 思い返すと、20年前1999年は世紀末でネガティブな思考が蔓延している時代だった。そのころから始まったネガティブ思考は9.11テロ、湾岸戦争とつづく世界情勢ののなかで、さらに強まっていく。その過程ではネガティブ本能が有ったかもしれない。

 私はなぜかそのあと話題を呼んだ本、「不都合な真実」アル・ゴア著を思い出した。この本も数値をもとに論理を展開し、視点を与えている点では同じだが、趣旨は全く違う。これは将来への警告をした内容だった。これがすんなりと受け入れられていったのもネガティブ本能によるところがあったのかもしれない。

 悲観的に捉えろとか、楽観的に捉えろと言うことではなく、事実を見直す視点を与えてくれる。正に新しい時代の幕開けに読むべき本である。

それでは、概略だけ紹介しよう。

「世界は戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。
金持ちはより金持ちになり、貧乏人はより一層貧乏になり、貧困は増える一方だ。何もしなければ天然資源ももうすぐ尽きてしまう。」

メディアでよく聞く話だが、これは、ドラマチックすぎる世界の見方である。
そもそも正しくない。世界はもっと豊かになっている。
人間には、こうだと思い込んでしまう本能がある、その本能を以下解説する。

その10個ある本能とは、無意識にそう判断してしまう思い込みのこと

  1. 分断本能:世界は分断されている」という思い込み
    二項対立を好む
  2. ネガティブ本能:世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
    悪いニュースの方が広まりやすい。
  3. 直線本能:世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み
    何事も直線に伸びることは少ない。
  4. 恐怖本能:「危険でないことを、恐ろしいと考えしまう」思い込み
    世界は危険だというニュースが昔よりも効果的に配信されるようになったが、現在の世界は今まで以上に平和で安全だ。メディアは恐怖のあるものだけを報道するし、人間んも恐ろしいものには自然と目がいってしまう。しっかりとデータを見て判断すべきなのである。
  5. 過大視本能:目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み
    目の前の数字が一番大事だと思い込んでしまう。必ず他の数字と比較すべき
  6. パターン化本能:ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み
  7. 宿命本能:「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
    持って生まれた宿命によって、人や国や宗教や文化の行方は決まるという思い込み。アフリカはヨーロッパに追いつけないというのは宿命本能の典型
    知識を常にアップデートし、ゆっくりとした変化でも、変わっていることを意識すべし。
  8. 単純化本能:「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
    「子供にトンカチを持たせると、なんでも釘に見える」
    専門知識を持っていたら、それを使いたくなるのは当たり前。
  9. 犯人捜し本能:「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
    物事がうまくいかないと、誰かが悪いことを仕組んだと思いがちだが、実は誰も悪くないのだ。
  10. 焦り本能:「いますぐ手をうたないと大変なことになる」という思い込み
    今すぐ行動しよう!というのはウソ。今すぐ決めろと急がされると、批判的に考える力が失われ、拙速に判断し行動してしまう。
    チャンスは一度きりではない!一週間後でも一年後でも良い。じっくり考えて行動した方が一度に詰め込むより身につきやすい。

著者は本書を執筆後、2017年に他界している。

感動的ともいえる終章は、ぜひ手に取って読んでみて下さい。

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣